2004.12.26

M−1グランプリ2004/★★

 端的に言って、誰もがポテンシャルを100%発揮しきれていなかった、という印象。特にタカアンドトシ、東京ダイナマイトはもっと出来たはずだ。

 小朝師匠も言ってたが、東京ダイナマイトのネタとしてあの「ピーナツ詰まったタクシー運転手」コントは決して面白い方じゃない。使い古されていても、例えば美容室ネタの方が見たかった。もっとも彼らの本質はコンターであり、美容室コントとなれば最低限椅子という小道具を用意しなければいけない時点で「漫才」のカテゴリーからははずれてしまう。

 無理矢理ハチミツと松田の漫才から始めてタクシーコントに入っていく、という苦肉の策を使わなければ本来の芸が切り出せない、というハンデをあらかじめ背負っていたことを考えれば、「漫才師」日本一を決めるM−1でノーシードから決勝まで残れたという実績だけでも十二分に評価に値するとは言える、かもしれない。

 千鳥は全国区で漫才をするにはインパクトの点でもはや限界に来ている。あれが実力だろう。

 笑い飯はある意味で安定したネタのパターンを踏襲した形になっていたが、「爪の名前」にしても「二宮金次郎さんと思いきや」も、普段の笑い飯のたたみかけるダブルボケの題材としてはまどろっこしく、勢いが十分に生かし切れていなかった。開始前にはあのダブルボケというパターン自体が飽きられているか否かが勝負、と思っていたが、それ以前の題材選びの失敗で決勝3組にすら残れず敗退、では不完全燃焼としか言いようがない。

 タカアンドトシは安定していた。爆発力も多少はあった。だが、もっと面白いネタがあったはず、と思わされてしまった。正統派なだけに、個性とパンチは弱い。あの場に並ばされてしまうと、ボケの淡々としたテンポが凡百に堕してしまっていた。

 ポイズンガールバンドは元から当たり外れの大きいコンビではあるが、今回は決勝に持ってくるネタとしては完全にチョイスミス。この場合、ヤツらのネタの傾向からすると、ヤツら自身も「自分たちのネタのどれは面白くてどれはつまらないのか」が分かっていない可能性が大いにあるのが困りもの。まぁ今回はぶっちゃけ、中日のヘルメットネタでひっぱりすぎたのが唯一にして最大の失敗だろう。

 麒麟はいつもの麒麟だった。無難にまとめていた。俺から言えるのは、「お前らの顔と名前とキャラと芸が一致するまで2年かかったよ」、ということだけだ。

 トータルテンボスは頭が悪いから嫌いです。「ハンパねえ」で押したいならふられた時にすぐ「ハンパねえ」って言えるように心構えしとけよ。あと「今日のハイライト」は「ほら、これ面白いだろ? ここで笑えよお前ら、ほら、ほら!」って言われてる感じがものすごく嫌い。ええ、「クラスの人気者」は昔から大嫌いでしたから。

 アンタッチャブルはまさに圧巻。まわりが緊張からか気負いによるチョイスミスからか実力を発揮しきれないでいる中で、普段のテンションを思う存分振り回していた。しかもツッコミのテンションの高さとボケの声の張り方、分かりやすさとインパクトのバランスで、会場の雰囲気をごっそり持っていった。まさに横綱相撲。

 南海キャンディーズは驚いた。しずちゃんのキャラは、まぁ及第点、程度だが、それを飼い慣らすツッコミの言葉選びのセンスは秀逸。それが確実なケミストリーを起こしているのは驚嘆に値した。少しだけ自信満々な顔をしすぎているのが鼻につくが、それさえはね飛ばすひねりの効いたツッコミは本物。審査員の誰が言ったか、ネタ番組だけでなくバラエティでも使いやすいキャラ、というのもあながち間違いでもない評価だろう。

 地上波のネタ番組はハードディスクレコーダーでほぼチェックしている俺からすれば、演芸番組としては妙にレベルの低いものになってしまった感がある中で、アンタッチャブルの元気さは嬉しかった。個人的には大好きな東京ダイナマイトと、今回は出てこなかった職人コンター・キングオブコメディには、2005年は違う場所での奮起を望む。あとユリオカ超特Qもがんばれ。まだ消えるには早い。

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2004.12.23

スキージャンプペア オフィシャルDVD/★★★★

 一部で静かなブームを呼んでいるスキージャンプ・「ペア」のDVD第一弾です。知らない方のために簡単に説明すると、CGムービーによって、「スキージャンプ ラージヒル ペア」という架空の競技を作ってしまった映像作品。普通のスキー板の前後に一人ずつが乗ってジャンプし、ジャンプ中の二人の演技の芸術点が重要視される全く新しい競技で、今作のメインはその2006年トリノオリンピッの各国代表の演技――なんですが、まぁ例えて言えば、「タイタニック」という技なら、ジャンプ後フロントの一人が板を外れて、バックはその胸を抱きかかえ、そしてフロントは両手をまっすぐ広げ――とまぁこんな具合。

 他の演技も名前だけ書くなら、「コアラ」「カンガルー」「アルマゲドン」「ジーザス」「イーグル」「ドラ」……最後のドラはよく考えればどういう状態か分かると思います。ヒントはフロントのコスチュームが青、バックのコスチュームは黄色。板も黄色。

 発想の勝利。まずはこの一点を褒め称えたい。そしてそれを映像として再現する時に、きちんと「オリンピッグ中継」として、「実況+解説者」という形式、さらにリプレイや、各国の採点など、お遊びとしての「無闇なリアリティ」を盛り込みまくったことで、表面上は「ほらほら見て見て、俺たちこんなに面白いことやってるんだよ」というダチョウ倶楽部やTIMや安田大サーカスとは真逆の、アンガールズやポイズンガールバンド的な、あるいは浅越ゴエ的な、そしてさらに言うなら宮沢章夫的な面白さをきちんと獲得していることこそが真に称賛に値する。

 昔このでりくりで、俺が宮沢章夫のエッセイにハマっていると書いた。その彼のエッセイ集のうちのどれだかは忘れたが、「私は面白い顔をして面白いことを言われるとどうしていいか分からなくなる。それよりも私は何食わぬ顔をした面白い物を作る人こそ本物だと思う」という意味のことを書いていた。全面的に賛成したい。

 わたくしごとだが、先日ある大学時代の友人の結婚式に行った。事前にスピーチを頼まれていた共通の先輩は、前日からひどく緊張しながら、どうにかこうにか、新郎と新婦の出会いのエピソードなどを笑いを交えて話そうと考えていた。そして本番。サークルでの二人のあだ名や、新郎が初デートでしてしまった失敗談などを、初対面の100人の大人の前でさも「今から面白いことを言います」という顔をして披露していた先輩は、席に帰ってきて俺に、「みんながあんまり聞いてなかったから、緊張しないで話せてよかったよ」と言っていた。開宴前から並んでいたビールは、もうぬるくなっていた。

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2004.05.16

エンタの神様/★★

 悔しいけどドランクドラゴンは面白かった。だんだん鈴木のキャラが茶の間まで浸透してきたことが勝因。塚地がツッコミ、鈴木がボケという、今までと真逆のシチュエーションでもきっちりとコントをやりきった。可能性として十分にアリだと言えるだろう。

 アンタッチャブルはエンタ常連の中ではかなり好きな方。とはいえ、M−1で審査員に激賞されていた、柴田の「じゃあお前○○が○○だったら○○してくれんのかよ! やってみろよ!」というケンカ腰でスピーディで過剰なツッコミが最近見られなくなってしまったのが残念ではある。その分山崎が自分のキャラを掴んできて、ネタだけでなくフツーのタレントとしても面白いことが言えるようになってきたのは嬉しいことではあるが。

 インパルスも安心して見られるコンターになった。板倉が自分の仕事をしっかり理解しているのが良い。クレバーな二人。どうでもいいがツッコミがデブキャラというコンビも珍しい。二人組の芸人では他に思い浮かばない。デビュー当時のホンジャマカは石塚だけでなく恵もデブで、一時期までそれを売りというかネタにしてたが。

 青木さやかは友近と一緒で、面白いことをやってるんですよー、という雰囲気は漂わせているものの、爆発的な笑いが無いのが個人的には×。いいともだのワイドショーだの、自分の居場所を見付けた感もあるので、早いところネタ番組からは身を引いて欲しい。ところで以前「人間ハタチ過ぎたら自分の顔に責任持ちなさい」と言われたことがあるが、青木ほど内面が顔に出ている女もなかなかいない。

 俺には井上マーが見えない。尾崎学級のネタはたぶんテレビで4、5回は見てる。「ビーカーの重さは含みません」と4、5回聞いた。こいつに他に何が出来るのかが全く見えない。微妙に「喫茶店の見本のスパゲッティのフォークが」など細かい新ネタは織り交ぜているが、あいつは今後しばらくは尾崎学級を基本に中の小ネタだけ変えてやっていくつもりなのか? 初めて見た時は着眼点が面白かったが、もう飽きた。違うマーが見たい。ちなみに「どこでもいっしょ」のあの白いネコは「井上トロ」だ。どうでもいいか。

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2004.05.08

土曜特集・オールスター演芸笑劇場/★

 ええと、インターネットで取得してきた番組情報によると、出演者は「今いくよ・くるよ 古今亭菊之丞ケーシー高峰昭和のいる・こいるオール阪神・巨人林家彦いち テツ&トモ ますだおかだ桂三枝ほか」となってるんですけどね。これに載ってない出演者が「アンジャッシュ、江戸むらさき、スピードワゴン、18KIN、シャカ、ハリガネロック、バナナマン、エレキコミック」、あとついでにナポレオンズっておい! ホントに載ってたヤツらとこいつらをそっくり入れ替えるだけで視聴率が2%は上がったと思うんですが。

 で、若手10組をまずは一列に並べてクイズを始めるんだけど、「上位2チームだけネタをやることが出来ます」だって。そんなくだらない企画やってる暇があったらネタをやらせろ。で、クイズの内容はと言えば「狂牛病をアルファベット3文字で書くと?」とかいう簡単なもの。どう考えてもボケを欲してるよな? でスピードワゴンとかアンジャッシュはきちんと「COW」「KGB」とボケをかますんだけど、他のヤツらは普通に「BSE」って書いて正解。しかもボケ解答に触れてくれたのはその問題だけで、結局問題言って解答言って十問終えて予選に残ったのが「シャカ、18KIN、バナナマン、ハリガネロック」って、びっくりするほどパッとしない。俺がネタを見たかった江戸むらさきもスピードワゴンもアンジャッシュもエレキコミックも予選落ち。

 結局決勝は新撰組クイズに素で挑戦して素で一人勝ちしたシャカと、「あ、こいつらバカだから俺もボケてる場合じゃない」と思って途中から本気出した18KIN。シャカなんて今回のメンバーで唯一俺が顔を見ても判らないヤツら。何がしたいんだこの番組は。結局ボケを捨てて真剣にクイズに答えた一番面白くない二人を放映って。

 そのあと落語家5人くらいと大御所漫才師5組くらいで似たようなクイズ企画やってたけど、大御所編「阪神巨人、のいるこいる、いくよくるよ、アホの坂田、横山たかしひろし」というメンツで優勝してネタを披露したのはたかしひろし。てゆーかお前ら誰だよ。ホントにたかしとひろしだったかも自信ねーよ。俺に任せてくれたら半分の制作費で倍の視聴率とってみせるんだけどなぁ。やっぱりNHKに今のお笑いは無理だ。気分悪い。

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