M−1グランプリ2004/★★
端的に言って、誰もがポテンシャルを100%発揮しきれていなかった、という印象。特にタカアンドトシ、東京ダイナマイトはもっと出来たはずだ。
小朝師匠も言ってたが、東京ダイナマイトのネタとしてあの「ピーナツ詰まったタクシー運転手」コントは決して面白い方じゃない。使い古されていても、例えば美容室ネタの方が見たかった。もっとも彼らの本質はコンターであり、美容室コントとなれば最低限椅子という小道具を用意しなければいけない時点で「漫才」のカテゴリーからははずれてしまう。
無理矢理ハチミツと松田の漫才から始めてタクシーコントに入っていく、という苦肉の策を使わなければ本来の芸が切り出せない、というハンデをあらかじめ背負っていたことを考えれば、「漫才師」日本一を決めるM−1でノーシードから決勝まで残れたという実績だけでも十二分に評価に値するとは言える、かもしれない。
千鳥は全国区で漫才をするにはインパクトの点でもはや限界に来ている。あれが実力だろう。
笑い飯はある意味で安定したネタのパターンを踏襲した形になっていたが、「爪の名前」にしても「二宮金次郎さんと思いきや」も、普段の笑い飯のたたみかけるダブルボケの題材としてはまどろっこしく、勢いが十分に生かし切れていなかった。開始前にはあのダブルボケというパターン自体が飽きられているか否かが勝負、と思っていたが、それ以前の題材選びの失敗で決勝3組にすら残れず敗退、では不完全燃焼としか言いようがない。
タカアンドトシは安定していた。爆発力も多少はあった。だが、もっと面白いネタがあったはず、と思わされてしまった。正統派なだけに、個性とパンチは弱い。あの場に並ばされてしまうと、ボケの淡々としたテンポが凡百に堕してしまっていた。
ポイズンガールバンドは元から当たり外れの大きいコンビではあるが、今回は決勝に持ってくるネタとしては完全にチョイスミス。この場合、ヤツらのネタの傾向からすると、ヤツら自身も「自分たちのネタのどれは面白くてどれはつまらないのか」が分かっていない可能性が大いにあるのが困りもの。まぁ今回はぶっちゃけ、中日のヘルメットネタでひっぱりすぎたのが唯一にして最大の失敗だろう。
麒麟はいつもの麒麟だった。無難にまとめていた。俺から言えるのは、「お前らの顔と名前とキャラと芸が一致するまで2年かかったよ」、ということだけだ。
トータルテンボスは頭が悪いから嫌いです。「ハンパねえ」で押したいならふられた時にすぐ「ハンパねえ」って言えるように心構えしとけよ。あと「今日のハイライト」は「ほら、これ面白いだろ? ここで笑えよお前ら、ほら、ほら!」って言われてる感じがものすごく嫌い。ええ、「クラスの人気者」は昔から大嫌いでしたから。
アンタッチャブルはまさに圧巻。まわりが緊張からか気負いによるチョイスミスからか実力を発揮しきれないでいる中で、普段のテンションを思う存分振り回していた。しかもツッコミのテンションの高さとボケの声の張り方、分かりやすさとインパクトのバランスで、会場の雰囲気をごっそり持っていった。まさに横綱相撲。
南海キャンディーズは驚いた。しずちゃんのキャラは、まぁ及第点、程度だが、それを飼い慣らすツッコミの言葉選びのセンスは秀逸。それが確実なケミストリーを起こしているのは驚嘆に値した。少しだけ自信満々な顔をしすぎているのが鼻につくが、それさえはね飛ばすひねりの効いたツッコミは本物。審査員の誰が言ったか、ネタ番組だけでなくバラエティでも使いやすいキャラ、というのもあながち間違いでもない評価だろう。
地上波のネタ番組はハードディスクレコーダーでほぼチェックしている俺からすれば、演芸番組としては妙にレベルの低いものになってしまった感がある中で、アンタッチャブルの元気さは嬉しかった。個人的には大好きな東京ダイナマイトと、今回は出てこなかった職人コンター・キングオブコメディには、2005年は違う場所での奮起を望む。あとユリオカ超特Qもがんばれ。まだ消えるには早い。
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